犬によくある疾患
細菌性皮膚炎(膿皮症)
膿皮症は、皮膚の免疫力が低下し、皮膚表面の細菌が増殖することで引き起こされる皮膚炎です。
通常はブドウ球菌などが原因となり、梅雨や夏場に多く発生します。また、シャンプー後に皮膚を十分に乾かさない場合にも発症しやすい特徴があります。
治療には、抗生物質の内服が一般的であり、軽度の場合は薬用シャンプーが効果を発揮することもあります。しかし、抗生物質が効果を発揮しない場合や繰り返し発症する場合には、薬剤感受性試験が行われ、適切な薬剤を選択します。また、皮膚の症状が改善しない場合やアレルギーやホルモンバランスの問題が疑われる場合には、それらの要因も考慮し、治療計画を立てていきます。
真菌(マラセチア)性皮膚炎
真菌(マラセチア)性皮膚炎は、皮膚に常在するカビ(マラセチア)が過剰に増殖することで引き起こされる炎症性皮膚疾患です。通常、耳道、口周囲、肛門周囲などに少数存在するカビが増殖し、皮膚の赤みやかゆみを引き起こします。
治療には、抗真菌剤を内服したり、外用薬や薬用シャンプーを用いることがあります。抗真菌剤を使用しても、皮膚の赤み・かゆみがある場合や、一旦完治するが、抗真菌剤をやめるとすぐに繰り返して皮膚炎になる場合には、基礎疾患としてアトピー、食物アレルギーや、ホルモンバランスによるトラブルが起きていないかの検査をし、治療計画を立てていきます。
ニキビダニ症
ニキビダニ症は、皮膚に寄生するニキビダニ(毛包虫)によって引き起こされる病気です。
一般的なマダニとは異なり、ニキビダニは草むらなどには生息せず、市販のスポットタイプのマダニ予防薬では駆虫することができません。ニキビダニは非常に小さく、肉眼では見つけることができないため、皮膚検査を行い顕微鏡で確認する必要があります。
皮膚検査でニキビダニの感染を確認後は、ダニ駆虫の治療を行っていきます。