【症例紹介】パピヨン、高齢、慢性腎不全|袖ヶ浦市のますみ犬猫病院
袖ヶ浦市・木更津市・君津市・市原市・富津市にお住まいの皆様、こんにちは。
千葉県袖ヶ浦市のますみ犬猫病院です。
今回は「パピヨンの慢性腎不全」の症例をご紹介いたします。
ホモトキシコロジーによる慢性腎不全および全身状態改善例
犬種:パピヨン(リリーちゃん・ちわ子ちゃん)
年齢:高齢
経過観察期間:2023年11月~2025年4月現在
背景
リリーちゃんは2023年10月に精神的負荷を受けた後、急速に腎機能の悪化が見られ、BUNおよびクレアチニンの大幅な上昇が確認されました。かかりつけはCTやMRIなどを備える高度医療対応の1.5次病院で、当初は皮下点滴による治療が提案され、管理が行われましたが、従来の治療では十分な改善が見られず、数値は高止まりあるいは悪化傾向を示していました。そのため飼い主様は、心臓への負担を懸念しつつ、よりQOLを重視した治療方針への転換を希望され、当院にてホモトキシコロジー中心の統合医療的アプローチを開始することとなりました。ちわ子ちゃんについても、同時期に腎機能の数値悪化が認められたため、同様の方針で治療を開始しました。日常の血液検査や健康チェックは引き続きかかりつけ病院で行い、当院では治療薬の提供を担当しております。
治療内容
- ホモトキシコロジー内服開始(リリーちゃん・ちわ子ちゃん)
- リリーちゃんは2025年1月9日よりホモトキシコロジー注射製剤を併用
- 皮下点滴は行わず、経口補液(1日10回程度)
- 食事管理(少量頻回給餌)
- 精神的サポートとして自らの瞑想も併用
経過
■ リリーちゃん
ホモトキシコロジー治療開始後、速やかに口臭の減少、嘔吐の消失、元気・食欲の回復が認められました。注射製剤併用後は尿の色が改善し、夜間排尿も消失しました。多飲多尿も軽減し、現在では治療開始前よりも良好な全身状態を維持しています。
■ ちわ子ちゃん
ホモトキシコロジー錠剤内服開始後、BUN・クレアチニンの改善が認められました。また、2025年2月初旬に角膜穿孔を発症しましたが、注射製剤を併用したことで角膜の回復が著明に促進されました。加えて、毛色の改善(白髪から茶色)、爪の成長促進、顔貌の若返りなど、全身状態の向上が見られています。さらに、治療と並行して白内障に関連する白濁の軽減傾向も観察され、過熟期から成熟期への戻りのような変化がみられました。通常進行する白内障に対して予想外の好転が見られたことで、飼い主様も非常に驚かれており、今後も注意深く経過を観察しています。
血液検査推移
■BUN推移
※ 赤い破線はホモトキシコロジー注射製剤開始日(2025年1月9日)を示しています。
■クレアチニン推移
※ 赤い破線はホモトキシコロジー注射製剤開始日(2025年1月9日)を示しています。
【補足:BUN・クレアチニンの基準値と重症度の目安】
BUN(尿素窒素)およびクレアチニン(CRE)は、いずれも腎臓の機能を評価する上で非常に重要な血液検査の指標です。数値の上昇は、腎臓による老廃物の排出機能が低下していることを示唆します。
■ BUN(正常値:9〜30 mg/dL)
・30〜60 mg/dL:軽度上昇(脱水や一時的な影響の可能性もあり)
・60〜100 mg/dL:中等度の腎機能障害を示唆
・100 mg/dL以上:高度な腎不全が強く疑われます
■ クレアチニン(正常値:0.4〜1.4 mg/dL)
IRIS(国際獣医腎臓学会)の分類による腎不全の進行度:
・ステージ1:0.4〜1.4(正常または境界)
・ステージ2:1.4〜2.0(軽度)
・ステージ3:2.1〜5.0(中等度)
・ステージ4:5.0以上(高度な腎不全)
リリーちゃんの治療開始当初の値は、BUNが140 mg/dL、クレアチニンが5.36 mg/dLと、いずれも著しく高く、一般的に「高度な腎不全(ステージ4)」に相当する非常に厳しい状況でした。そこからの数値改善と全身状態の回復は、非常に注目すべき経過であるといえます。
飼い主様の声
「ホモトキシコロジーでこれほどの結果が出るとは思っていませんでした。これまで主流とされてきた医療では、生活の質を高めることが難しいと実感しています。」
「リリーは注射製剤開始後、夜間の排尿がなくなり、尿の色も改善しました。元気も食欲も戻り、今ではむしろ食欲をセーブするほどです。」
「ちわ子も、角膜の穿孔から予想以上に早く回復し、体調や見た目の若返り、そして白内障の改善傾向まで感じています。」
「かつては週に何度も嘔吐があり、皮下点滴にも強く抵抗していたリリーが、いまでは一度も吐かず、皮下補液を行うことなく落ち着いた日常を送れていることに驚いています。」
「何よりも、点滴をせずにここまで回復してくれたこと、そして本人の意思を尊重できたことが、私たち家族にとって大きな喜びです。」
「これまでの医療で教えられてきた常識が覆されるような経験の連続で、長年数多くの犬たちと向き合ってきた私たちも、本当に多くの学びと希望をいただいています。」
まとめ
本症例は、ホモトキシコロジー療法を中心とした統合医療的アプローチが、慢性腎不全に対して臨床的に有効であり、さらに皮下点滴を用いずに全身状態の改善やQOLの向上を実現できた例といえます。
加えて、ちわ子ちゃんに見られた角膜穿孔からの回復や白内障の白濁軽減、毛色・爪・表情の変化など、従来の治療では得られにくい全体的な若返りや自然治癒力の発現は、統合医療の可能性を感じさせるものです。
症例を通して、医療行為だけでなく、動物自身の意志を尊重し、無理のない形で生活の質を守ることが、いかに動物の持つ治癒力や活力を引き出すかを改めて実感する機会となりました。
ますみ犬猫病院では、今後も動物たちの体と心に寄り添い、自然治癒力を最大限に活かす統合医療の実践を通じて、ひとつひとつのご家族に寄り添った治療を提供してまいります。